覚えたら終わりじゃない!作業手順書の必要性

製造業で働き始めると、あらゆる作業に “作業手順書” というものが存在します。

今回はこの作業手順書の目的や必要性のお話をしたいと思います。

作業手順書とは

マニュアルのように業務の全体像やフローを把握するものとは違い、

作業の工程や単位作業の進め方についてのプロセスを詳細に記されたもので、

日常的に閲覧される目的で作られています。

多くの手順書に記されていること

  • 手順の解説
  • 処理の方法
  • 作業に必要な準備物
  • 注意事項(必ず確認する項目)
  • 作業の目安時間
  • イレギュラーな事態への対処法

他にも、必要に応じて様々な項目が細かく記載されています。

これらの必要なプロセスが、文章や写真を用いて動作を表現しています。

作業手順書の目的

では、この作業手順書の通りに作業を進めることがなぜ必要なことなのでしょう?

それは、誰が行っても同じ成果を得られるという、単一的な再現性の高さです。

作業手順書通りに行うことで、ミスをなくし品質の安定が保てるだけでなく、

誰でも同じ業務を同じ効率で行うことができることで

生産性を向上させることができます。

作業手順書があってもミスはあり得る

作業手順書通りに作業を進めることで、作業者の習熟度は比較的早く上達します。

一方で、作業に慣れてくると、作業手順書の内容を覚えてしまい、

必然的に“見なくてもできる”という状態になっていきます。

この “作業手順書を見ていなかった” ことでミスが起こるケースがあります。

覚えているつもりになっている

製造業は同じ作業の繰り返しになることが多く、

慣れた作業であるほど、覚えていることが多いです。

しかし、年末年始などの長期休暇明けや、

他の製品の作業工程も担うことになり、作業期間にブランクができる

といった要因で、覚えていたはずのことにモレがでることがあります。

油断する

どの工程も作業手順書通り進めているので、ミスが起こることは少ないです。

しかし、ミスが起きない状況に慣れると

「不良がでていないから目視をしなくてもいいと思った」など

気持ちの油断がでることがあります。

また、毎回確認できないことは、忘れてしまいやすくなるので、

ミスを発見できる場面で見つけられないということが起こります。

製造業でミスのある製品が見つかるのは稀なことです。

この稀なことを起こさない、見つけて流出を防ぐことも作業手順書の大きな役割です。

作業が習熟しても、作業手順書は必ず確認しましょう。

作業手順書を守ることだけでは品質の安定とはいえない?!

作業手順書は、作成された時点での情報でしかありません。

そのため、その時点で予測されていなかった様々な要因で、

新たなミスや、ミスにつながりそうな場面に気づくことがあります。

そのため、作業手順書は、一度作ったら終わりというものではなく、

その都度、最適な状態に情報を更新していく必要があります。

手順書は常に最新の情報に更新し、それをフィードバックする。

情報の共有をタイムリーに行うことが、品質の安定になります。

作業手順書は新人作業者のための教育材料ではなく、

会社が品質の安定を保つために、作業者が確認して作業を行い、

必要に応じて情報を更新していくものです。

与えられた情報の中だけで受け身に作業をするのではなく、

常に品質を意識しあえる姿勢が大切だと思います。